子どもに読み聞かせたい「戦争」の絵本5冊

 お家で、子どもと戦争について話し合うことはありますか?

 学校で平和学習はすると思いますが、家庭でも平和について考えたり、平和の尊さについて学ぶ時間があるといいかもしれません。

 ここでは、子どもに読み聞かせたい戦争の絵本を5冊紹介したいと思います。

 子どもに、と書いていますが、もちろん大人でも構いません。

 むしろ、大人になってから読むと、そのお話を今までより深く考えられたり、子どもの頃は気づかなかった発見があると思います。

  ぜひ、ご家庭で読んでみてください。

目次

そして、トンキーも死んだ

(昭和57年8月13日総合テレビの絵本版)

たなべ まもる・ぶん、 かじ あゆた・え

 昔、上野動物園では、戦争のために大事に育てている動物たちを殺さなければなりませんでした。戦争の犠牲になったのは人間だけではなく、何の罪もない動物たちも同じです。

 ゾウのトンキーは、最後まで人間を信じてくれていましたが、悲しいことに、飼育員たちがそれに応えることは許されなかったのです。

 私はこの本を小学2年生の子どもたちに読み聞かせたところ、心を打たれて涙を流す子どもがいました。戦争の悲惨さを学ぶことができる1冊です。

 このお話は、中学の英語の教科書Sunshine2 にも登場しますよ。

低学年〜

ちいちゃんのかげおくり 

(1982年8月初版発行)

あまんきみこ 作、 上野紀子 絵

 「かげおくり」という遊びを今の子どもたちは知らないのではないでしょうか。

 私は国語の教科書に入っていたこのお話を読んで、そういう遊びがあるのだと知りました。

 これは、ちいちゃんという女の子が、あるなつの夜の空襲で家族と離れ、ひとりぼっちになってしまい、最後は「かげおくり」をして静かに命を落とすお話です。

 小さな子どもも、激しい戦争の犠牲になっていたことを教えてくれる1冊です。

低学年〜

絵本 よっちゃんのビー玉

(1996年7月20日 第1刷発行 新日本出版社)

児玉辰春ぶん、 北島新平え

 みなさんは、原爆資料館にある熱でとけたガラス瓶を見たことがありますか?「絵本 よっちゃんのビー玉」は、そのガラス瓶にまつわる、広島の原子爆弾のお話です。

 当時わずか4歳だったよっちゃんは、徴兵されるお兄さんを広島駅のホームで見送ります。それからしばらくして、よっちゃんは原子爆弾によって深い傷を負い、二度とお兄さんと会うことはありませんでした。

作者の児玉辰春さんは、「まっ黒なおべんとう」(新日本出版社)や「しんちゃんのさんりんしゃ」(童心社)などを書かれた方です。「幼い心に感動の種子をまきたい」と思ってこのお話を絵本にされたそうです。

低学年〜(小学2年生くらいなら読み聞かせできると思います。/ 約30ページ、文章は少し長めです。)

へいわってすてきだね

(2014年月23日初版発行 ブロンズ新社)

詩 安里勇生、 画 長谷川義史

 この絵本は、沖縄県の小学校1年生(当時)の男の子が書いた「へいわってすてきだね」という詩です。2013年6月23日「沖縄県全戦没者追悼式」で朗読されました。

 お話ではなく詩なので、さらっと読めます。そのため、忙しくても短い時間で読み聞かせができます。

私は、この詩最後の「これからも、ずっとへいわがつづくように ぼくも、ぼくのできることからがんばるよ」という箇所が素敵だと思います。

 読み終わったあと、平和のために自分たちができることは何だろう、と親子で一緒に考える時間を持つといいかもしれません。また、他の戦争のお話の絵本を読んだ後、今の子どもはどう考えてるんだろうね、ということでこのお話を読むことをおすすめします。

絵本 東京大空襲

(1978年初版 理論社)

早乙女勝元 作、 おのざわ・さんいち 絵

絵本 東京大空襲

 「おとうさんから 愛ちゃんへ … 今日はね、おとうさんね、とっても大事なお話をしようかと思います。…」

 という書き出しで始まるこの絵本は、作者である早乙女さんが、小学生になった娘の愛さんに語った東京大空襲のお話です。早乙女さんが実際に見たことや感じたことなどが、すべて語り口調で書かれてあるので、物語を聞く、というより、語り部さんのお話を聞く感覚に近いです。

 文中に、「これまで私たちの歴史には、何度も戦争がありましたが、でも、わずか二時間ちょっとの間に、十万人もの兵隊が死んだという戦闘はありません。」という箇所があります。この本は、その約二時間のことがくわしく書かれてあります。

 「愛娘と、戦争を知らない小さなみなさんに、この絵本を贈りたいと思います。」早乙女勝元さんより。

高学年~(中学年も読み聞かせられるかと思いますが、焼けた馬の肉を食べる人や死体の描写があります。)文章は長いです。(約60ページ)


 さて、子どもに読み聞かせたい戦争の絵本を5冊紹介しました。読みたい本は見つかりましたか?読んだことのある本でも、久しぶりに読んでみてもいいかもしれません。図書館に行って借りたり、子どもに学校で借りてきてもらって家で読み聞かせたりしてみてはいかがでしょうか。

 これらの本以外にも、子どもに読み聞かせたい戦争の絵本がありますので、また紹介したいと思います。

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